大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)214号 判決

控訴人吉成の相殺の抗弁についてみるに、一般に、双方の過失に基因する同一交通事故について一方が同事故による損害賠償を訴求したときに、他方が同事故による損害賠償債権を自働債権として相殺をすることは、双方が同一事故の被害者であり双方とも現実の弁済によつて損害の填補を受けしめる必要のある点では等しい立場にあり、かつ、別個の不法行為を誘発するおそれもなく、民法五〇九条の相殺禁止の規定の法意に反するところはないから、かかる例外の場合には同規定の適用がないと解するのが相当であるところ、(証拠)によれば、本件事故により本件自動車が破損し、控訴人吉成が本件事故後間もない頃その修理費七万六六六七円を支出し、同額の損害を受けたことが認められ、これを覆すに足る証拠はないので、前記過失割合を斟酌し、同控訴人は右額の八割に相当する六万一三三三円(円未満切捨)の損害賠償債権を有すると認めるべきである。そして、同控訴人が当審において右債権を自働債権として被控訴人の本訴請求債権に対し対当額で相殺する旨の意思表示をなしたことは記録上明らかであるので、控訴人の前記損害賠償債権一二万七二二五円は同相殺により右の限度で消滅し、残額六万五八九二円となつたものである。

(柳川 後藤 平田)

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